はじめに:LLMO時代の到来
2025年現在、検索エンジンの世界は大きな変革を迎えています。従来のSEO(Search Engine Optimization)に加えて、**LLMO(Large Language Model Optimization)**という新たな概念が登場し、AI検索エンジンでの上位表示が重要になってきました。
ChatGPT、Claude、Perplexityなどの大規模言語モデルを活用した検索サービスが普及する中、従来のSEO対策だけでは不十分な時代となっています。本記事では、LLMO対策として今すぐ実装すべき3つの必須施策をご紹介します。
◼️ LLMO対策として今すぐ実装すべき3つの必須施策
・【対策1】llms.txtファイルの設置
・【対策2】構造化データ(JSON-LD)の実装
・【対策3】多言語対応の実装
LLMO対策が必要な理由
AI検索の普及
- ChatGPT検索、Perplexity、Claude、BingのCopilotなど、AI検索エンジンの利用者が急増
- ユーザーの検索行動の変化:キーワード検索から対話型検索へ
- AIが情報源として選ぶサイトの基準が従来のSEOと異なる
従来SEOとの違い
従来のSEOが「検索エンジンのアルゴリズム」を意識していたのに対し、LLMOは「AIの理解しやすさ」を重視します。構造化されたデータ、明確な情報提供、多言語対応などが重要な要素となります。
【対策1】llms.txtファイルの設置
llms.txtとは
llms.txtは、AI検索エンジンやLLMに対してサイトの重要情報を効率的に伝えるためのファイルです。robots.txtのLLM版と考えると理解しやすいでしょう。
設置場所
https://◯◯◯/llms.txt
サイトのルートディレクトリに配置します。
llms.txtの書き方
# LLMS.txt - AI検索エンジン向けサイト情報(←このファイルのタイトルなので、変更不要)
## サイト基本情報(↓以降、ご自身のサイトに合わせて変更してください。不要な項目は削除してOK)
サイト名: 株式会社○○○
業種: Webマーケティング・SEO対策
設立: 2020年
所在地: 東京都渋谷区
代表者: 田中太郎
## 主要サービス
- SEO対策・コンサルティング
- Webサイト制作・リニューアル
- コンテンツマーケティング支援
- SNSマーケティング支援
## 専門分野・得意領域
- BtoB企業のデジタルマーケティング
- ECサイトの売上向上施策
- ローカルSEO対策
- テクニカルSEO
## ページ一覧
主要サービス: https://example.com/service/
実績・事例: https://example.com/case-study/
ブログ: https://example.com/blog/
会社概要: https://example.com/company/
お問い合わせ: https://example.com/contact/
## よくある質問 [faq]
- question: SEO対策の効果が出るまでの期間は?
answer: 一般的に3〜6ヶ月程度ですが、サイトの状況により異なります。
- question: 料金体系は?
answer: 月額10万円〜、サイト規模と施策内容により決定いたします。
## 最新情報
最終更新: 2025-06
主要実績: 累計300社以上のSEO対策実績
認定資格: Google Analytics認定資格、Google広告認定資格保有
## 連絡先
電話: 03-1234-5678
メール: info@example.com
営業時間: 平日9:00-18:00
llms.txt作成のポイント
- 構造化された情報提供: 見出しを使って情報を整理
- 具体的な数値: 実績や期間など具体的な情報を記載
- 定期的な更新: 最新情報を反映させる
- 簡潔で分かりやすい文章: AIが理解しやすい表現を心がける
【WordPressの場合】llms.txt設置プラグイン
WordPressサイトでllms.txtを簡単に設置できるプラグインがいくつか公開されています。
以下に主要なプラグインを紹介します。
1. Website LLMs.txt
- Yoast SEOやRankMathとの統合機能
- サイトマップ生成とキャッシュ管理
- 更新頻度を即座・日次・週次から選択可能
- noindexやnofollowコンテンツの自動除外
料金: 無料
おすすめ度: ★★★★☆
こんな方におすすめ: SEOプラグインを既に使用している方、安定した運用を重視する方
2. LLMs.txt Generator
- ChatGPT、Gemini、Claudeなどの主要AIモデルに最適化
- コンテンツ階層の自動解析
- AI向けの構造化データ生成
- プレミアム版では詳細な制御機能
料金: 無料版あり(プレミアム機能は有料)
おすすめ度: ★★★★★
こんな方におすすめ: AI最適化を重視する方、高機能を求める上級者
3. LLMs.txt for WP
- 投稿タイプ別やカテゴリー別の除外設定
- 含めるコンテンツの詳細なコントロール
- プライバシーとセキュリティを考慮した選択的情報公開
- AIツールによるコンテンツ発見可能性の向上
料金: 無料
おすすめ度: ★★★☆☆
こんな方におすすめ: プライバシーを重視する方、細かい制御が必要な方
これらのプラグインを使用することで、手動でファイルを作成・管理する手間を省き、WordPressの既存コンテンツから自動的にllms.txtを生成できます。
【対策2】構造化データ(JSON-LD)の実装
構造化データの重要性
AIは構造化されたデータを読み取ることで、サイトの内容をより正確に理解できます。特にJSON-LD形式での実装が推奨されています。
実装場所
HTMLの<head>
セクション内に記述します。
構造化データの書き方
1. 企業・組織情報(Organization)
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Organization",
"name": "株式会社○○○",
"url": "https://example.com",
"logo": "https://example.com/logo.png",
"description": "SEO対策・Webマーケティングの専門会社",
"foundingDate": "2020-04-01",
"address": {
"@type": "PostalAddress",
"streetAddress": "渋谷区神宮前1-1-1",
"addressLocality": "東京都",
"postalCode": "150-0001",
"addressCountry": "JP"
},
"contactPoint": {
"@type": "ContactPoint",
"telephone": "+81-3-1234-5678",
"contactType": "customer service",
"availableLanguage": ["Japanese", "English"]
},
"sameAs": [
"https://twitter.com/yourcompany",
"https://www.facebook.com/yourcompany",
"https://www.linkedin.com/company/yourcompany"
]
}
</script>
2. サービス情報(Service)
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Service",
"name": "SEO対策コンサルティング",
"description": "検索エンジン最適化による集客力向上を支援します",
"provider": {
"@type": "Organization",
"name": "株式会社○○○"
},
"areaServed": "日本全国",
"hasOfferCatalog": {
"@type": "OfferCatalog",
"name": "SEOサービス",
"itemListElement": [
{
"@type": "Offer",
"itemOffered": {
"@type": "Service",
"name": "基本SEO対策プラン",
"description": "キーワード調査、内部対策、レポート提供"
},
"price": "100000",
"priceCurrency": "JPY",
"priceSpecification": {
"@type": "UnitPriceSpecification",
"price": "100000",
"priceCurrency": "JPY",
"unitText": "月額"
}
}
]
}
}
</script>
3. よくある質問(FAQPage)
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "FAQPage",
"mainEntity": [
{
"@type": "Question",
"name": "SEO対策の効果が出るまでどのくらいかかりますか?",
"acceptedAnswer": {
"@type": "Answer",
"text": "一般的に3-6ヶ月程度で効果が現れ始めますが、サイトの現状やキーワードの競合状況により期間は変動します。継続的な対策により、より大きな効果が期待できます。"
}
},
{
"@type": "Question",
"name": "料金はどのように決まりますか?",
"acceptedAnswer": {
"@type": "Answer",
"text": "サイトの規模、対策キーワード数、必要な施策内容により決定いたします。基本プランは月額10万円からとなっており、詳細はお問い合わせください。"
}
}
]
}
</script>
4. ブログ記事(Article)
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Article",
"headline": "LLMO対策で今すぐ始めるべき対策3選",
"description": "AI検索時代に必要なLLMO対策の具体的な実装方法を解説",
"image": "https://example.com/article-image.jpg",
"author": {
"@type": "Person",
"name": "田中太郎",
"jobTitle": "SEOコンサルタント"
},
"publisher": {
"@type": "Organization",
"name": "株式会社○○○",
"logo": {
"@type": "ImageObject",
"url": "https://example.com/logo.png"
}
},
"datePublished": "2025-06-02",
"dateModified": "2025-06-02",
"articleBody": "記事の本文内容...",
"wordCount": 2500,
"articleSection": "SEO・マーケティング"
}
</script>
【WordPressの場合】構造化データ設置プラグイン
WordPressサイトに構造化データを実装するためのプラグインは数多く存在します。
以下に代表的なプラグインを紹介します。
1. Schema & Structured Data for WP & AMP
- 35種類以上のスキーマタイプ対応(ブログ投稿、ニュース記事、ローカルビジネス、レシピなど)
- AMP対応のJSON-LD形式で構造化データを自動生成
- Google Rich Snippetsに最適化された出力
- 検索結果の視認性向上に特化
料金: 無料版あり(Pro版は有料)
おすすめ度: ★★★★☆
こんな方におすすめ: AMP対応サイトの運営者、豊富なスキーマタイプが必要な方
2. WPSSO Core
- 500以上のスキーマタイプとサブタイプをサポート
- Facebook Open Graph、Twitter Cards、oEmbedなど複数プラットフォーム対応
- サードパーティプラグインとの自動連携によるデータ読み取り
- WooCommerce製品の包括的なスキーママークアップ
料金: 無料版あり(プレミアム版は$35/年)
おすすめ度: ★★★★★
こんな方におすすめ: 総合的なSEO対策を重視する方、ソーシャルメディア連携が必要な方
3. Schema App Structured Data
- 既存のWordPressコンテンツを自動解析
- ページ、投稿、著者、カテゴリの自動スキーママークアップ生成
- ロゴとサイト名の設定のみで即座実装完了
- コードを書かずに包括的なスキーママークアップを追加
料金: 無料
おすすめ度: ★★★☆☆
こんな人におすすめ: 初心者の方、簡単導入を重視する方
4. Structured Content (JSON-LD)
- FAQPage、Person、Event、Course、LocalBusiness、JobPostingなどの構造化データ要素を直接挿入
- 投稿・ページ内に複数の構造化データ要素を配置可能
- 簡単なダイアログ操作でFAQなどの複雑な構造化データを作成
- schema.orgに準拠したJSON-LD形式での出力
料金: 無料
おすすめ度: ★★★★☆
こんな方におすすめ: 柔軟なカスタマイズが必要な方、FAQ等の複雑な構造化データを扱う方
5. Yoast SEO
- サイト検索、サイト名、ロゴ、記事、ソーシャルプロフィールの基本Schema.org情報を自動出力
- サイトの性質(個人/組織)を自動判断し最適化
- JSON-LD形式での構造化データ出力
- SEO機能と統合された包括的なサイト最適化
料金: 無料版あり(Premium版は有料)
おすすめ度: ★★★★☆
こんな方におすすめ: 総合的なSEOプラグインを求める方、基本的な構造化データで十分な方
これらのプラグインを活用することで、技術的な知識がなくても効果的な構造化データをWordPressサイトに実装できます。SEO向上とリッチスニペット表示の実現に役立ちます。
【対策3】多言語対応の実装
多言語対応の重要性
グローバル展開を見据えたAI検索エンジンでは、多言語対応サイトが優先的に表示される傾向があります。また、海外ユーザーからのアクセス増加も期待できます。
WordPressの場合、以下プラグインで簡単に多言語対応の実装が可能です。
多言語対応のやり方
1. 翻訳したサイトを新たに作成
現サイトを翻訳したサイトを新たに作成します。
URLの例は以下の通り。
- サブディレクトリを使用する(例:https://example.co.jp/en-us)※おすすめ
- サブドメインを使用する(例:https://us.example.co.jp)※検索エンジンの評価が下がりやすい
- 国別ドメインを使用する(例:https://example.co.us)※英語圏全体をターゲットにしたい場合は不推奨
2. headタグ内のタグ設定
① 【翻訳したサイトで行う】言語設定変更(<html lang=“ja”>を<html lang=“en”>等に変更)
※“en”部分は翻訳した言語に合わせてください。
<html lang="en">
② 【全サイトで行う】多言語化用タグの設置
以下のタグを全サイトのheadタグ内に貼り付けてください。
// 多言語化用メタタグ
<link rel="alternate" hreflang="en" href="https://example.co.jp/en/"> // 他言語版ページのURL
<link rel="alternate" hreflang="ja" href="https://example.co.jp/ja/"> // 日本語ページのURL
<link rel="alternate" hreflang="x-default" href="https://example.co.jp/ja/"> // デフォルト言語ページのURL
3. 言語切り替えボタンの作成
ユーザーが簡単に言語を切り替えられるよう、国旗の画像などを用いて言語切り替えボタンを設置しましょう。
4. 翻訳したサイト用のXMLサイトマップを作成する
翻訳したサイト用のXMLサイトマップを作成し、Google Search Consoleで送信します。
XMLサイトマップはWordPressであればプラグインで簡単に作成が可能です。
Google Search Consoleで送信してから実際にインデックス(Googleの検索結果に表示)されるまでには、だいたい1週間〜10日ほどかかります。
【WordPressの場合】多言語対応プラグイン
WordPressサイトの場合、プラグインで簡単に多言語対応が可能です。
以下に代表的なプラグインを紹介します。
1. WPML(WordPress Multilingual Plugin)
- 最も人気のある多言語プラグイン
- 100以上の言語に対応
- SEO機能が充実(hreflang自動生成)
- 翻訳管理機能が豊富
料金: 年額$39〜(個人サイト)
おすすめ度: ★★★★★
こんな方におすすめ: 本格的な多言語サイトを構築したい企業・個人
// WPMLでの言語切り替えメニュー表示例
<?php do_action('wpml_add_language_selector'); ?>
2. Polylang
- 無料版でも基本機能が充実
- 直感的な管理画面
- WooCommerceとの連携可能
- カスタム投稿タイプにも対応
料金: 無料(Pro版は年額$99)
おすすめ度: ★★★★☆
こんな方におすすめ: コストを抑えて多言語化したい小規模サイト
// Polylangでの現在言語取得
$current_language = pll_current_language();
echo 'Current language: ' . $current_language;
3. Weglot
- 自動翻訳機能(Google翻訳API使用)
- 設定が非常に簡単
- リアルタイム翻訳編集
- SEO最適化機能内蔵
料金: 月額$15〜(10,000語まで)
おすすめ度: ★★★★☆
こんな方におすすめ: 手軽に多言語化を始めたい初心者
4. TranslatePress
- フロントエンド翻訳エディター
- Google翻訳API連携
- SEOフレンドリー
- 無料版あり
料金: 無料〜年額$79
おすすめ度: ★★★☆☆
こんな方におすすめ: 視覚的に翻訳作業を行いたい方
プラグイン選択の判断基準
項目 | WPML | Polylang | Weglot | TranslatePress |
---|---|---|---|---|
初期費用 | 高 | 低 | 中 | 低 |
設定の簡単さ | 中 | 中 | 高 | 高 |
SEO機能 | 高 | 中 | 高 | 中 |
カスタマイズ性 | 高 | 高 | 低 | 中 |
サポート体制 | 高 | 中 | 高 | 中 |
推奨プラグイン
- 企業サイト・本格運用: WPML
- 個人サイト・予算重視: Polylang
- 初心者・手軽さ重視: Weglot
多言語対応後に必要なLLMO対策
1. 多言語構造化データの実装
HTMLの<head>
セクション内に記述します。
<!-- 日本語版 -->
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Organization",
"name": "株式会社○○○",
"description": "SEO対策・Webマーケティングの専門会社",
"inLanguage": "ja"
}
</script>
<!-- 英語版 -->
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Organization",
"name": "○○○ Inc.",
"description": "Professional SEO and Web Marketing Services",
"inLanguage": "en"
}
</script>
2. 多言語llms.txtの作成
※既にllms.txtを作成済みの場合は、以下を追記します。
# LLMS.txt - Multi-language Support(←このファイルのタイトルなので、変更不要)
## 言語サポート / Language Support(↓以降、ご自身のサイトに合わせて変更してください。)
日本語: /ja/
English: /en/
中文(简体): /zh-cn/
## 各言語での主要サービス
### 日本語
- SEO対策・コンサルティング
- Webサイト制作・リニューアル
### English
- SEO Optimization & Consulting
- Website Development & Renewal
### 中文(简体)
- SEO优化与咨询
- 网站开发与更新
まとめ:LLMO対策の効果的な実装
実装の優先順位
- llms.txtファイルの設置(最も手軽で効果的)
- 基本的な構造化データの実装(Organization、Serviceから開始)
- 多言語対応(ターゲット市場に応じて段階的に実装)
注意点とベストプラクティス
- 定期的な更新: llms.txtや構造化データは最新情報を反映
- 正確性の確保: 構造化データは必ず検証ツールでチェック
- ユーザー体験の重視: 技術的な対策だけでなく、コンテンツの質も重要
- 継続的な改善: AI検索の動向を注視し、対策をアップデート
2025年以降の展望
LLMO対策は今後さらに重要性を増すと予想されます。早期の対応により、AI検索時代における競合優位性を確保できるでしょう。特に、音声検索やマルチモーダル検索の普及に伴い、より高度な構造化データ対応が求められる可能性があります。
今回ご紹介した3つの対策を段階的に実装し、AI検索時代に備えた強固なWeb戦略を構築していきましょう。
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